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海外譲与した再生自転車の組み立てや 修理を行う技術者の育成プロジェクト


自治体による国際貢献

豊島区が事務局となっている再生自転車海外譲与自治体連絡会(MCCOBAムコーバ)は、現在、文京区・大田区・世田谷区・練馬区・荒川区・武蔵野市・川口市・さいたま市・上尾市・静岡市・広島市の12自治体と公益財団法人ジョイセフによって構成されています。
1989年の発足以来、放置自転車として撤去された引き取り手のない良質車を再整備し、アジアやアフリカ等の開発途上国へ無償譲与を続けています。用途は、現地での看護師や保健師による母子保健活動に限定されていますが、その実績は2011年度末(2012年3月末)までに91か国、69,135台に及んでいます。日本では社会問題になっている放置自転車が途上国では「命を救う足」「走る回覧板」として人々の暮らしに不可欠な存在と大切にされ、医療・保健・教育・福祉の向上に大きく貢献しているのです。20年以上の長期にわたり継続している「自治体による国際貢献事業」は、国内のみならず国際的にも大きな評価を受けています。

しかし、譲与を希望する国および希望台数が年々増加している中、ここ数年間は限られた財源での非常に厳しい運営状況となっていました。そこで、今までの事業の効率化と推進を図るため、クレアの平成23年度自治体国際協力促進事業(モデル事業)の助成を受け「海外譲与した再生自転車の組み立てや修理を行う技術者の育成プロジェクト」を行うことにしました。

新規事業へのチャレンジ

自転車の一部を分解して輸送する場合には、完成車で輸送する場合に比べ1台当たりのコストを軽減することが可能となります。これは40フィートのコンテナだと完成車では165台の積み込みになりますが分解車だと450台の積み込みができるため、輸送コストの大幅な削減になります。結果として、より多くの国に多くの台数を輸送することが可能となるので、ぜひ分解車での譲与を主に展開していけるようになりたいと考えました。これを実現するためには、まず、現地で分解車を組み立てる技術者を育成することが必要であり、また、譲与した自転車をできるだけ長く活用するためには修理・メンテナンス技術の普及が不可欠となります。そのための人材を育成する技術指導者を日本から派遣し、ワークショップを開催することとしました。

カンボジア王国での実施

 これまで、毎年多くの台数を希望されていながら完成車しか譲与できなかったカンボジア王国に対し、ムコーバの関係団体から技術指導者2人とスタッフ2人を派遣し、併せて分解車450台と工具や部品等を輸送しました。
カンボジア大使館およびカンボジア政府の協力を得ながら首都プノンペンで開催された3日間のワークショップには、今後技術者として活躍する予定の政府関係者を含む現地スタッフ10人が参加しました。ムコーバの歴史や意義といった講義から始まり、カンボジア国内での再生自転車の活用状況や必要性も学びました。その上で、写真と解説文でわかりやすく作られたマニュアルを見ながら、工具の名称や使用方法も含め組み立ての説明を受け、2人1組で実習に入りました。参加者たちの熱意と日本の技術指導者のわかりやすく丁寧な指導の結果、最終的には10人全員が1人で自転車を組み立てられるようになり、ワークショップの期間中に70台の自転車が完成しました。
参加者からは「自転車の組み立てがこんなに大変だとは知らなかったが、技術を習得できて良かった」「自己流で組み立てをしたことがあったが、正しいノウハウとメンテナンス技術を学ぶことができて良かった」との感想が聞かれました。ワークショップの閉会式には参加者一人一人に修了証が手渡され、各人が自分で組み立てた自転車を前に誇らしげに記念撮影を行いました。また、組み立てた自転車を現地活動団体のIPPFカンボジア(RHACラック)へ引き渡す譲与式典も行われました。これらの様子はカンボジア国内でも話題となり、カンボジアTV放送のトップニュースに取り上げられ、大きな反響がありました。その後、約2か月をかけて輸送したすべての分解車が組み立てられ、カンボジア国内各地に配布され、2011年度の譲与が完了しました。

今後の活動への展望

ワークショップの開催にあたっては、参加者の交通費や日当を支給する必要がありました。また、不正利用を防止するためにムコーバから正式に寄贈された貴重な自転車であることを大々的にPRする必要があるなど、国民性の違いや文化的なギャップに戸惑うことも多くありました。しかし、今回の事業はカンボジア王国にとっても、ムコーバの活動にとっても新しい道を切り開くことができたと確信しています。技術者として成長した参加者は、自分たちの手で組み立てた再生自転車が自国内で「命を救う足」として活用され、医療・保健・教育・福祉の向上のために貢献することで、大きな意義を見出せることでしょう。
ムコーバでは、完成している再生自転車を譲与することだけを活動目的としているのではなく、本当に必要としている途上国に本当に必要な台数を譲与し活用させることが重要であると考えています。そのために欠くことのできない人材育成のノウハウを学び実践できたことは大きな進歩となりました。今後は、耐用年数が1~2年程度と短かったものが、メンテナンス技術の習得により延長されたかどうか、また、当初の予定どおりより多くの国により多くの再生自転車を譲与することができるようになったかどうか、時間をかけた検証が必要であると考えています。そして、その検証を踏まえつつ、他の途上国でも同様の事業を行い、限られた財源の中で限られた資源である再生自転車を最大限に活用した国際貢献を展開していきたいと思います。

カンボジア王国からの御礼

最後になりましたが、これまでのムコーバの実績と今回の事業の実施といった国際貢献に対して、カンボジア王国より友好勲章が贈られました。
長年の活動が実を結んだ証しであり大変光栄なこととうれしく思っています。さらに、カンボジア特命全権大使から「日本とカンボジアのために引き続きご協力いただきたい」とのお言葉をいただき、ムコーバの活動の意義をあらためて実感することができましたことをご報告します。