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再⽣自転⾞の役割と成果


「命を救う足」と呼ばれる再生自転車の役割

日本から再生自転車を送る目的と開発途上国での活用状況について

妊婦さんを保健施設に搬送する役割を果たす再生自転車
(ザンビア)

保健推進ボランティアの家庭訪問とカウンセリング
(タンザニア)


再生自転車を開発途上国に譲与する本来の目的は、途上国の農村地域の母子保健活動の向上にあります。

世界では、妊娠や出産が原因で、1日に約830人の女性が亡くなっています。その99%が途上国の女性です。その妊産婦死亡の原因は多様でありますが、そのひとつとして、国際機関の統計によると、出血や感染症などに対する緊急医療の対応の遅れが指摘されています。

その背景には、開発途上国の農村地域には医療機関がなく、最も近いクリニックが村から10~20km、あるいは40~50kmも離れていることも珍しくないという現状があります。その距離は徒歩で平均5~6時間はかかることもあるため、クリニックに向かう途中で、あるいは村人の手作りの担架によるクリニックへの搬送の途中で、処置が間に合わず、妊産婦が命を落とすケースも少なくありません。乗合バスがある地域でも、運行が不規則でバス停で何時間も待ったり、あるいはバス代が払えないといったこともあり、結局クリニックにたどり着けず、「手遅れ」で亡くなってしまうことがあります。

たとえば、アフリカのタンザニアで2010年に実施した人口保健調査によると、全国で女性の19%が妊娠と出産に係わる医療機関まで距離が遠いので行くことができないと回答しています。収入が少ない貧しい農村地域では、女性の39.9%が医療機関まで遠過ぎるので医療機関に行けないと回答しています。

保健医療従事者が不足しているこうした農村地域に住む女性たちの命と健康を守るには、地域から選ばれ、事前に基礎的な保健知識についての研修を受けた保健ボランティアの活動が大きな役割を果たしています。保健ボランティアが遠距離でアクセスの悪い村々を巡回し、母子保健や家族計画に関する情報を村人たちに伝える啓発活動はなくてはならない活動です。その啓発活動をサポートする交通手段として再生自転車を寄贈しています。今まで保健ボランティアが無医村の村々へ徒歩で移動するのと比べて、より効率的に多くの家庭を訪問し、巡回指導ができるようになります。

保健ボランティアの日々の啓発活動を通じて、自らの健康を守るという女性たちの意識が向上し、妊婦が体調の良い時に自力でクリニックでの産前健診を受けに行く、あるいはクリニックの保健施設での分娩介助を受けたりなど、今まで暗く不衛生な自宅で出産を繰り返していた行動に変化が徐々に現れてきました。また、時には再生自転車は、診療を必要とする女性をクリニックへ搬送する交通手段としても活躍しており、今までアクセスが原因で落としていた多くの命を救っていることから、現地では再生自転車は「命を救う足」とも呼ばれ、無医村での母子保健活動のシンボルになっています。

再生自転車の海外譲与活動は、単に物資として途上国に寄贈しているというコンセプトではなく、相乗効果を高めるために、村人からも認知された士気の高い保健ボランティアに活用されることが、母子保健事業の継続性を高める非金銭的なインセンティブとしても効果を上げています。

ポピュレーション・カウンシル(米国)の「タンザニアの地域に根差す家族計画サービスのアウトプットとコストの要因に関する調査研究報告書」1998年版(米国国際開発庁の資金協力)でも、ジョイセフが支援したタンザニアの保健ボランティアへの再生自転車の提供が投入した資金等のインプットに対して、アウトプットが相対的に効果的であったことが国際的に報告されました。

再生自転車を日本から途上国に出荷する利点について

駐輪場の直ぐ近くに放置された自転車

再生自転車積み込み作業


ムコーバ(再生自転車海外譲与自治体連絡会)で実施している再生自転車海外譲与事業は、国内の放置自転車対策の一環として、撤去した自転車の中から良質なものを選んで新品同様に再生し、途上国の母子保健活動の向上に貢献することを基本的なコンセプトとする「リサイクル」と「国際協力」をセットにした考え方に基づいています。

開発途上国に譲与される再生自転車は、まず、ムコーバ加盟の各自治体が撤去した自転車の所有者との連絡を行い、一定の保管期間内で所有者が引き取らなかった自転車について防犯登録の抹消手続きを行います。そして、車体に書かれている個人情報の削除など、定められた整備基準に基づき各自治体が整備し、稼動確認と安全確認をした上で、品質の高い再生自転車として譲与しています。

途上国で販売されている自転車は中国製とインド製が主です。自転車の小売価格はグレードによって異なります。価格のみを比較した場合、現地で購入した方が安い場合がありますが、しかし、中国製やインド製の自転車は、途上国の都市部では流通していますが、実際に母子保健プロジェクトが行われている農村地域では簡単には入手ができないことがあります。また、これらの自転車は、男性が乗ることを基準にしたフレーム構造となっているため、たとえば、普段着としてカンガやチテンゲと呼ばれる布の腰巻を身につけて行動するタンザニアやザンビアの女性にとっては使いづらいという問題もあります。これらの点において、日本から届けられる女性向自転車(ママチャリ)は、女性が乗りやすいという利点があります。

また、近年では、カンボジアなどアジアの国々でも日本のママチャリが人気を呼び、日本の中古自転車が市場に出回るようになってきています。しかし、店頭に並べてある日本の中古自転車の中には、元の所有者の名前や住所が書かれていたり、防犯登録のシールが貼られたままのものも少なくありません。日本から鉄のパーツとして途上国に輸出され、整備されないまま現地で組み立てられた自転車の場合は、個人情報の保護や品質面での課題が残ります。よって、現地で中古自転車を調達する取り組みはまだ難しい状況にあります。

母子保健の向上に取り組んでいる保健ボランティアのために、日本から海を越えて再生自転車が届けられたというこの事実は、村人の健康向上のために、無償で巡回指導活動を継続している保健ボランティアにとり、活動の誇りと意欲を持ち続けることででき、大きな励ましと原動力にもなっています。